Standardize and Break

何を共通化し、何を局所化するか

正しい標準化を、あえて崩すことがある。ただし、崩してよい場所は決まっている。

ある組織で、同じ業務領域を担当する複数のチームに新しい仕組みを導入しようとした。一方のマネージャーは戦略実行の道具として使いたいと考え、別のチームのベテランは現在の仕事を効率化する道具として使いたいと考えていた。

通常なら、画面も項目も統一した方がよい。教育しやすい。比較しやすい。管理しやすい。保守もしやすい。標準化としては、その方が正しい。

しかし、統一しなかった。組織として比較するために必要な進捗の軸だけを共通にし、それ以外は分けた。無理に統一すると、設計上は美しくても、現場では使われない。何が本当に使われるのかは、実物の利用に判定させた方が速い。

局所化してよいのは、型そのものではない

ここに一般則がある。局所化してよいのは、集約したときに同じ型に落ちるパラメータであって、型そのものではない。 余地なら、閾値や重みは単位ごとでよいが、「余地とは何か」は共通でなければならない。現場適合を上げた結果、上位層が比較できなくなり、定着の前提条件を壊す——という反転が起きうる。

ただし実務では、現場の習慣を先に壊さないことが優先される。習慣を壊すと入力が止まり、その先の議論ができなくなる。現場の画面は触らず、裏で対応表だけ持っておくのが安い。表示も入力も変わらないので現場から見れば何も起きていないが、比較したくなったときに使える。

これは正しさを優先する話ではなく、将来の納得を守る話である。後から遡って揃え直す作業は、現場にとって「一度受け入れたものを変えられる」経験になる。そこで失うものの方が大きい。

本ノートは、実際の製造業向け営業基盤の導入プロジェクトを題材にした議論をもとに構成しています。 顧客企業を特定しうる情報は含みません。